親の経済状況が、子どもの衣食住の生活や教育水準を限定するということでは常套句として「貧困の再生産」という言葉がマスコミなどでは膾炙されています。 「子ども」の今から見えてくる世界―だれもが自分らしく生きるには という主要テーマから第1回目に相応しい重要なテーマと思います。 子育て支援の先進国フランスの社会学者ピエール・ブルデュー(Pierre Bourdieu, 1930〜 2002年コレージュ・ド・フランス名誉教授。)は、かつてその著『ディスタンクシオン』で、この文化的再生産は個人の能力ではなく、その多くは幼少期に習得した「ハビトゥス(生育環境や生活習慣全体)」に影響される。実際には人々はそれに気づかずプラティーク(ハビトゥスから導かれる個々人の持つ習慣的なふるまい)として顕在化し、潜在的に「こどもの心や思考」に影響を与えるといった枠組みを提示しました。このような考え方からも「子どもの貧困」問題が社会全体のこととして、世代を超えて重要かつ奥深い問題であることが分かるような気がします。
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